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村上春樹のエルサレム賞受賞スピーチ [日本文学]

村上春樹のエルサレム賞受賞スピーチ「Always on the side of the egg 」の詳しいダイジェストが、以下のサイトで、公開されている。

【Always on the side of the egg】
http://www.haaretz.com/hasen/spages/1064909.html

世の中には、素晴らしい方がいて、既にこれを訳したものが公開されている。彼らの行動力と情熱には、頭が下がる思いである。

1 村上春樹: 常に卵の側に
2 村上春樹スピーチ全文和訳Ver.1.2
3 村上春樹、エルサレム賞受賞スピーチ試訳

今回初めて読んだ父親に潜む死の存在についての話は、興味深かった。しかし、一番印象的だったのは、やはり、壁と卵の比喩である。

"Between a high, solid wall and an egg that breaks against it, I will always stand on the side of the egg."

Yes, no matter how right the wall may be and how wrong the egg, I will stand with the egg. Someone else will have to decide what is right and what is wrong; perhaps time or history will decide. If there were a novelist who, for whatever reason, wrote works standing with the wall, of what value would such works be?
村上春樹らしい素晴らしいスピーチだったと思う。これが小説家としての彼の原点なのかも知れない。めったに人を誉めないことで有名な「池田信夫 blog」でも、以下のような喝采を送っている。

イスラエル人の前でこのようなスピーチを行うことは、受賞を拒否するよりはるかに困難な決断だ。彼の小説はデビュー作が『群像』に載ったときからすべて読んでいるが、このスピーチは彼の最高傑作だ。よくやったよ、君は日本人の誇りだ。
                                 「池田信夫 blog」より
賞賛を贈る気持ちは良く分かる。僕も基本的には池田氏の意見に賛成だが、このスピーチを最高傑作とする点だけは同意できない。確かに、このスピーチは素晴らしいと思うが、村上春樹が語る例外的な「ほんとうの話」よりも、やはり僕は、彼の紡ぐ「うそ」のほうが気に入っている。小説などを好むという少数派の捻くれた考え方かもしれないが、似たような意見があまりにも多すぎるので、あえて書いておく。


【追記】
以下のサイトでは、実際のスピーチを再現したものが掲載されている。

【英語全文】村上春樹さん「エルサレム賞」授賞式講演全文
http://www.47news.jp/47topics/e/93880.php

【日本語全訳】村上春樹さん「エルサレム賞」授賞式講演全文
http://www.47news.jp/47topics/e/93879.php

【追記2】
「文藝春秋」 2009年4月号(3月10発売)に、このスピーチと「僕はなぜエルサレムに行ったのか」という村上春樹の独占インタビューが載っている。



【おまけ】
スピーチの動画があったので、貼っておく。


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【関連記事】
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タグ:村上春樹
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遊行七恵

こんばんは
今回、はじめて村上春樹の精神の強靭さとでも言うべきものを知った思いです。
素直に偉いものだと感じました。

「うそ」の巧いひとだからこそ、「ほんとうの話」が心に響いたのかもしれないなぁとも思いました。
by 遊行七恵 (2009-02-19 00:11) 

アヨアン・イゴカー

村上春樹のこの受賞謝辞を一読しました。テレビでは一部しか放送されなかったので、原稿を見たいものと思っていたところ、lapisさんの記事があったので、すぐ飛びついて、読みました。村上春樹の発音がよくなかったので分かりづらい英語でしたが、やはり原稿はずっと分かりやすいですね。印象深いものでした。受賞を拒否するのも一つのやり方ではありますが、このような授賞式の場で、その考えをはっきり述べるやり方は、却って大きな発言力を持ったと感じました。
by アヨアン・イゴカー (2009-02-19 00:32) 

柴犬陸

日本語の全文訳が、神戸新聞によるものと早合点してしまいました。
lapisさんが引用された「47NEWS」によるものだったと、いま気付いた次第です。
有難うございました。
今回のスピーチについては、どんなふうに感想を書いても、まとまりません。
村上春樹は信頼に足る人物だというと陳腐に過ぎるようだし、率直さが魅力的だというと軽すぎるようだし。
彼と同時代に生きていることを誇りたいといえば、伝わるでしょうか?
by 柴犬陸 (2009-02-19 07:54) 

seedsbook

こんにちは。
Lapisさんのおかげで記事に目が向き興味深く読みました。
ありがとうございました。
言葉って難しいですね。上手くイスラエルのかたがたに伝わっているとよいなと思います。

by seedsbook (2009-02-19 15:37) 

lapis

>遊行七恵さん、コメントありがとうございます。
>今回、はじめて村上春樹の精神の強靭さとでも言うべきものを知った思いです。
仰るとおりですね。以前から、日本人には珍しい、個人主義的で、自分のスタイルを曲げない人だとは思っていましたが、予想以上に精神的に強い人だと思いました。
最近、悪いニュースが多いなか、久しぶりに喝采をあげたくなるような出来事でした。
今度、久しぶりの長編が出るそうですが、楽しみです。

>アヨアン・イゴカーさん、nice!&コメントありがとうございます。
>このような授賞式の場で、その考えをはっきり述べるやり方は、
>却って大きな発言力を持ったと感じました。
今回のスピーチで、村上春樹の人間としての懐の深さが、予想以上に深いということを知りました。誤解を招く可能性のある方法を自ら選択し、そして信念を貫く。これは素晴らしいことだと思います。

>aoyamasijinnさん、nice!ありがとうございます。

>柴犬陸さん、nice!&コメントありがとうございます。
>彼と同時代に生きていることを誇りたい
仰るとおりですね。
某大臣の愚行のように同じ日本人として恥ずかしくなるニュースが多いなか、
久しぶりに、心から拍手を送りたい出来事でした。
今年の夏には、新作長編が刊行されますが、今から楽しみです。

>seedsbookさん、コメントありがとうございます。
>Lapisさんのおかげで記事に目が向き興味深く読みました。
そう言っていただけると、嬉しいです。
興味深いスピーチなので、もっと多くの人に読んでい欲しいと思います。
彼の小説は独特の癖があるので、ある意味、このスピーチの方が万人向けかもしれません。
>上手くイスラエルのかたがたに伝わっているとよいなと思います。
僕もそう思います。そして、少しでも良い方向に変わって欲しいものです。

>お茶屋さん、nice!ありがとうございます。

>HALさん、nice!ありがとうございます。
by lapis (2009-02-19 20:14) 

miron

今回の春樹さんのエルサレム賞受賞のスピーチの一部を、テレビのニュースで拝見し、はっとしました。
テーマが深いので、自分ではなかなか言葉にできなかったのですが、lapisさんをはじめ、皆様の上記コメントを読んで、うんうんそうだなぁと、ひとしきり、うなずいております。
また、報道では部分的だったので、全体がつかめず、全文を読みたいと思っていたので、ご紹介ありがとうございました。自分の考えを誤解無く伝えるために、導入から、終わりの言葉まで、緻密にそして誠実に組み立てられているなぁという印象を受けました。いつもは日本語で春樹さんの文章が読めることに甘えておりますが、今回は、じっくりと教えて頂いた英語の原文を読んでみようと思います。(スピーチの映像も全体のものがあると、良いのですが。)

by miron (2009-02-19 21:52) 

lapis

>mironさん、nice!&コメントありがとうございます。
このスピーチは、本当に素晴らしいものだと思います。
TVのニュースで放映された部分だけでも非常に興味深かったのですが、やはり全文を通して読んだ方が、意図がはっきりと伝わり、感銘を受けました。
>スピーチの映像も全体のものがあると、良いのですが。
僕も是非見たいと思っています。ネットの時代ですので、主催者あたりがYouTubeにでも公式チャンネルを開いて、動画を公開してくれるとありがたいと思います。

>eccoさん、nice!ありがとうございます。

by lapis (2009-02-19 22:55) 

lapis

SilverMacさん、nice!ありがとうございます。



by lapis (2009-02-19 23:07) 

yoku

おそくなりましたが、授賞式の模様はテレビで見ました。
私は式、出席に懐疑的です。何故ならあれだけの
犠牲者(子供が多かった)をだした、爆撃に肯定的ととられ
かねないからという単純な動機からです。
by yoku (2009-02-20 13:27) 

エリザベート

“ペンは強し・・”と改めて感じました。政治とは関係ない世界の人だから純粋に苦言を呈することが出来た・・様に思います。 
by エリザベート (2009-02-20 17:25) 

lapis

>エルティアさん、nice!ありがとうございます。

>yokuさん、コメントありがとうございます。
>私は式、出席に懐疑的です。何故ならあれだけの
>犠牲者をだした、爆撃に肯定的ととられかねないから
確かに、そのように思われる方もいるかと思います。受賞を辞退する方が、誤解の余地のない明確な意思表示になったでしょう。
しかし、誤解を招く危険をおかしても自分の意志を表明するというのも勇気ある行動だと思います。
彼の行動が正しかったのかどうかは、判断できませんが、彼のスピーチは読む価値のあるものだったと思います。

>エリザベートさん、nice!&コメントありがとうございます。
このスピーチは、曖昧だとか、自分の都合が良いように解釈する余地があるというような批判があります。しかし、壁と卵の比喩で表された問題を考えること自体に意義があるような気がします。そう言う意味でも文学者らしい対応であったと思います。


by lapis (2009-02-20 19:44) 

lapis

>イリスさん、nice!ありがとうございます。

>nyanさん、nice!ありがとうございます。

by lapis (2009-02-22 00:01) 

gillman

言葉の力を信じて行動したことに小説家としての面目躍如たるものがあると思います。中川大臣の行動と対照的な印象を持ちました。
by gillman (2009-02-22 08:42) 

lapis

>gillmanさん、nice!&コメントありがとうございます。
仰るとおり、確かに、中川大臣の行動とは対照的だったと思います。同じ時期だっただけに、より村上春樹の行動が印象的になったのかもしれません。受賞したこと批判する人は当然いると思いますが、僕は立派な行為だったと思います。

>kinositaさん、nice!ありがとうございます。

by lapis (2009-02-22 19:07) 

lapis

春分さん、nice!ありがとうございます。
by lapis (2009-02-23 19:03) 

やいっち

lapis さん

村上氏は、オウム事件の時も独自のスタンスを保っていたような。
どんな場合も作家としての自分の行動倫理で動く。なかなかできないことです。

逆TB、コメント、ありがとう!

by やいっち (2009-02-23 22:25) 

lapis

やいっちさん、TB&コメントありがとうございます。
>オウム事件の時も独自のスタンスを保っていたような。
仰るとおりですね。ノンフィクションの『アンダーグラウンド』が出版されたときは驚きました。
>どんな場合も作家としての自分の行動倫理で動く。
ある意味、日本的でない作家かもしれませんね。
自分のスタイルを貫くということは、なかなか出来ないことだと思います。
by lapis (2009-02-24 19:32) 

lapis

パパス&ジェクトさん、nice!ありがとうございます。


by lapis (2009-03-07 19:28) 

lapis

katsuraさん、nice!ありがとうございます。

by lapis (2009-04-04 21:47) 

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村上春樹氏のエルサレム賞受賞スピーチ(壺中山紫庵 2009-02-21 00:44)

村上春樹氏のエルサレム賞受賞スピーチの日本語訳が読めます: 「はんどー隊ブログ

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